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開発ストーリー

「ほぼ日のアースボール」には、
新しい技術やアイデアが
たくさん詰まっています。

アースボールの実現に欠かせない6人の、
それぞれの開発ストーリーをご紹介します。

「他のメーカーさんが見たら、
びっくりするんじゃないかな(笑)」

株式会社渡辺教具製作所渡辺周さん

アースボールは、奇跡の子。

私たちの会社「渡辺教具製作所」は、
地球儀の製造販売をメインにした
創業80年以上の天文教具メーカーです。

創業者の渡辺雲晴は、日本で初めて
本格的な地球儀をつくった人物と言われています。

今回の「ほぼ日のアースボール」本体は、
世界最大の地球儀メーカー「リプルーグル」と
共同で制作したものになります。

渡辺教具は3年前に「リプルーグル」の
国内販売権を取得したのですが、
共同でひとつの地球儀をつくるというのは、
これまで一度もありませんでした。

まさに偶然が重なってうまれた、
画期的なプロジェクトだと思っています。

私たちにとっても、
アースボールは「奇跡の子」のような、
そんな地球儀だと思っています。

地球の上下に、穴がない。

そもそも地球儀というのは、
平面データを球体に加工するわけですから、
じつは途方もなく難しいものです。

私自身、未だに完成された技術は
ないんじゃないかと思っているくらいです。

今回のアースボール本体においても、
これまでにない球体加工へのチャレンジが
いくつもありました。

ひとつ例を挙げますと、
通常の地球儀は真ん中に回転軸を入れるので、
地球の上下に穴が空いています。

しかし、アースボールには軸がないので、
上下の穴をどうにかしてふさぐ必要があります。

本来なら「極地だから」ということで、
シールを貼る方法も考えられますが、
完成度を優先させるとなるべく使いたくない。

そこで何度も試作をつくりながら、
最終的にはシールではなく、
特別な方法で穴をふさぐことにしました。

たぶん、この表面の仕上げ方は、
他の地球儀メーカーさんが見ても、
「どうやってつくってるの?」って
びっくりすると思いますよ(笑)。

丸いものは、丸いもので。

最近の学習指導要領によると、
これまで「世界地図」で勉強していたことを、
「地球儀」で学ぶようになってきています。

私自身、これはすごく大事なことだと思っています。

地球をより正しく、より体感的に学ぶなら、
やっぱり丸いものは丸いもので認識するのが
当然のことだと思うんです。

平面地図だとオーストラリアより
グリーンランドのほうが大きく見えますが、
ほんとうはオーストラリアのほうが、
3倍の大きさがあります。

東京からニューヨークの飛行コースも、
平面上だとアラスカ上空を経由して、
遠回りしているように見えますが、
地球儀上だと最短距離なのがすぐにわかります。

世界をまちがって理解しないためにも、
球体で世界のことを知るというのは、
じつはものすごく大事なことだと思います。

最後に、個人的にアースボールの好きなところは、
上も下もないというところですね。

北極点を上にする人が多いと思いますが、
本来の地球には上も下もありません。

どうやって置いても、すべて正解です。

ぜひ手の中でアースボールをくるくる回しながら、
いろいろな方向からながめてほしいですね。